こんにちは、Soi(@soieigo_27)です!
今回は長生き、長寿についての記事を取り上げました。我々生物は老化によって衰える生き物です。老化の原因はミトコンドリアの減少といわれているのですが、その詳細については今まで実は研究されていませんでした。
そこでケルンのマックスプランク老化生物学研究所が、体内のミトコンドリアについて研究を行いました。細胞ミトコンドリアについて、そしてその機能を活用して人間の老化を遅らせることはできるのか?
この研究はNature Metabolismに掲載されています。
私のブログでは、他にも日本語には訳されていない海外記事を翻訳し紹介しております。一人でも多くの人に、有益な情報を共有できればと思っています。
【Soi】=国立大英米文学出身、在学中多数の英米文学を翻訳。英検1級。
それではさっそく見ていきましょう!
体内細胞にあるミトコンドリアとは
人は年を取るにつれ衰えていく生き物です。これは我々の細胞に存在する極小発電所とでも言うべきミトコンドリアの減少によるものだとされています。
ミトコンドリアはエネルギーや代謝を調節する働きがあります。実際、老齢によるミトコンドリアの減少は、何も人間だけでなく、他の生き物においても同様です。そしてなぜ、このような現象が起きるのかについて、あまり理解されていませんでした。
ケルンの老化生物学マックスプランク研究所では、次のことを理解するために研究を開始しました。
・その過程を防ぐことができる要因はあるのか
そして彼らは、ミトコンドリアと他パーツとの細胞伝達が重要な役割を果たしていることを発見しました。
加齢に影響する核タンパク質の正体
この研究では、カエノラブディティス・エレガンスという単純回虫を研究に使用しました。この生物の半分以上の遺伝子は人間の遺伝子と似ており、この回虫のミトコンドリアも同じく加齢と共に減少します。
この研究で、彼らはNFYB-1という核たんぱく質を発見しました。NFYB-1は、ミトコンドリア活動に影響する遺伝子を活発化させたり不活発化させたりするもので、それ自体も加齢と共に減少しました。
変異型ワームではこのたんぱく質が不足しており、それゆえにミトコンドリアも正常に働かず、それほど長生きもしませんでした。
細胞と人間の加齢とのつながり
意外にも、研究チームはNFYB-1がミトコンドリア活動を刺激しているということを、リソソームと呼ばれる他の細胞部分を通して発見できたのです。
リソソームとは、塩基性分子が分解されて栄養素として再利用される場所の名称です。
この研究を率いるAdam Antebi氏は以下のように述べています。
我々はリソソームこそが、カージオリピンと呼ばれる脂肪とセラミドを介して、ミトコンドリアと伝達している正体かと思っていた。
驚くべきことに、変異型ワームにNFYB-1を供給するだけで、カージオリピンのミトコンドリア機能とワームの健康状態が改善したのです。
カージオリピンとセラミドは人間のミトコンドリアにも重要なため、このような分子がいかに細胞伝達を促すのかを理解することにより、人間の健康と加齢も改良されることを意味するかもしれません。
おわりに
人間の長寿につながる細胞タンパク質の驚くべき役割について、いかがでしたでしょうか?
被検体は人間と遺伝子構造が似ているとされる回虫を使用しているため、実際のヒト実験ではないものの、かなり有力な研究が進められていることがわかります。
この実験をさらに進め、人間の加齢を防ぐことができる細胞の仕組みを解明できれば、人間の寿命は健康なままさらに延びることになるかもしれませんね。
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